• Chet Chetwynd

日本の大企業は沈みつつあるのか?

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Fortune Global 500の日本企業数は安定している

1995年からに現在にかけて、96社の日本企業がFortune Global 500から外れました。特に注目すべきことは、1995年から2005年までの間に最も急激な減少が起きたことです。その後、多数の中国企業がFortune Global 500に入りましたが、日本企業の減少率は2005年から穏やかになり、現在はほぼ横ばいと言えます。

Fortune Global 500における企業の取り組みは、ある程度自国の成長に関係しており、日本のような成長の低い国から中国のような成長の高い国に自然とシフトする傾向があります。しかし、過去5年間(2014年以降)でリストから外れた日本企業は、シャープ (売却) 、富士フイルムホールディングス、アルフレッサ、コスモ石油、日本たばこ産業の5社のみでした。一方、米国は同じ期間に日本より多くの企業がリストから外れました。


下位100位は7社のみ

日本の残りの企業はランキングに広く分布していて、下位401〜500位の企業は、日本電気 (470) 、東日本旅客鉄道 (458) 、中部電力 (453) 、スバル (440) 、住友電気工業 (437) 、メディパル社 (436) 、関西電力 (420) のわずか7社です。

ランキングで順位が落ちることは常に良くないことなのだろうか?

Fortune Global 500は収益ベースのランキングである点に留意が必要です。ランキングでの上下の動きは必ずしも事業の善し悪しと一致するわけではありません。収益の増加はM&Aの結果かも知れませんし、収益の減少は慎重に計画された事業売却や多角化したコングロマリットが事業のフォーカスを絞っていることを示している可能性もあります。業績が芳しくない分野や戦略的でない分野を仕分け、業績に貢献する企業や世界市場で大きなフットプリントを持つ企業を買収することは、非常に賢明な動きと言えます。日立製作所を例にとってみると、売上高は5年間でわずかな減少でしたが、利益は増加しました。日立はその過程でいくつかの賢明な事業売却を行い、収益の低下と利益の増加をはかる一方で、電力分野(ABBパワーグリッド)と自動車分野(ケーヒン、ショーワ、日信工業)で戦略的な買収を進めています。


5年前と比べると、多くのセグメントで事業が拡大

以下に示すように、産業セグメント別に日本企業を見てみると、多くのセグメントで日本企業の事業は安定しているか、円換算では事業は拡大している傾向にあります。これは驚くべきことではありません。これら多くの企業は、創立100年を超えるかなり安定した企業だからです。

事業規模が縮小したセグメントは、エレクトロニクス、石油・ガス事業、電力事業、その他に含まれるコンピュータハードウェア分野でした。しかしあるセグメントで日本企業の事業が拡大したとしても、それは一面的な見方に過ぎません。例えば、ある日本企業が自動車およびトラック製造業者の事業部門で収益を増加できたとしても、世界規模で比べた場合どうでしょうか。その日本企業は世界市場でシェアを伸ばしたと言えるでしょうか。


日本のグローバルビジネスへの影響

産業毎に、日本企業がグローバリゼーションに対して考慮すべき事項は変わってきます。

· 急速な変化に適応する能力

· 世界規模の競争

· 破壊的ビジネスモデルの存在とそれに対する対応

· 自国の国家的なプライオリティ等との整合性

いくつかの分野において、日本企業は明らかに世界市場でのシェアを失いつつある。例えば、家電製品などの分野では、デジタル革命によってデバイスの製造方法が変わり、市場シェアは低コスト国にシフトしています。

しかし、COVID-19による景気後退は新たな機会をもたらす可能性もあります。

ただ、今の日本企業は、株主の活動の活発化や、株主のROEを改善するための自社株買いも関わらず、現金を備蓄し続けています。一部の企業はリスクをとらず、グローバルな野心も持たず、ゆっくりと着実に前進できる内向きな目標を選択しています。

テキサス・セントラル鉄道のような日本の巨大企業が関わる複雑な国際取引がCOVID関連の障害に直面している今、内向きになることは気分が良いかも知れません。私は日本の同僚から、グローバル事業はこれから日本企業にとって悩みのタネとなり、内向きの施策が今後日本企業にとってのコンフォートゾーン(居心地の良い場所)になり得ると聞きました。しかし、それは日本にとって勝つ戦略とは言えません。

前回のブログ「How Japan is Doing with Artificial Intelligence and What's at Stake」でも指摘したように、グローバル化は国際分業の恩恵をもたらし、競争や国境を越えた情報交換を通じて生産性を高めます。これはまた、日本のグローバルな安全保障を強化することでもあります。グローバル化がなければ、日本企業はFortune Global 500から徐々に順位を下げ、日本に機会と安全保障をもらたしてくれる日本の新たなプレイヤーが登場することはないでしょう。

将来に備えて、日本の大企業のリーダーは次のことに取り組むべきです。

  • 高い志を持った優秀な人材(より多くの女性を含む)が日本企業に集まる環境をつくり、リーダー主導型の改革を実行し、潤沢な手元資金を獲得するために必要な人材を確保すること

  • 海外主要市場でのプレゼンスを確保するため、グローバル事業を買収すること

  • 現地の人事慣行やベンチマークに合わせて、各地域でのビジネスに最適な人材を引きつけ、維持すること

  • グローバルビジネスをロータッチでマネージメントすること

  • 大きな問題が発生した場合は、そのようなビジネスをモニタリングし、必要に応じて修正すること